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マーケティングコミュニケーションの展開概要/その③

こんにちは。石川県金沢市の総合広告代理店PR ENGINEの沼田です。 以前紹介した「マーケティングの全体像について/その③」でご紹介したコミュニケーションの部分についてのご紹介の続きです。

具体的な戦略立案

今回は重点課題を解決するための広告表現計画についてのお話です。

広告表現の3ステップ

広告表現を考えるうえで重要なことは「誰に・何を・どのように」伝えるかの基本3要素を考えることです。

「誰に・何を」は論理的に構築する部分です。マーケターやマーケティングプランナーが左脳で論理的に考え導き出します。

「どのように伝えるか」はクリエイターが右脳で考え表現を広告に落とし込みます。

Step.1:[Who]誰に伝えるのか?

広告のターゲットを設定します。内容としては「マーケティングコミュニケーションの展開概要/その②

のターゲットと同様になります。

マーケティングコミュニケーションの対象は中心となる消費者から流通関与者まで幅広いです。現状を認識した結果、流通に課題がある場合は流通関与者をターゲットとして施策を実施します。

ターゲットはマーケティング戦略の影響を大きく受けます。

マーケティング上とは別のコミュニケーション上のターゲットを設定する場合もあります。

例えばおもちゃの商品ターゲットは子供ですが、コミュニケーションターゲットは親です。

新商品の発売ではマーケティング上の実売層とは別に、コミュニケーションを行う中心層となる「コアターゲット」を設定します。「コアターゲット」とは最初に商品を購入し、他への波及効果のあるオピニオンリーダーのことです。

既存商品の場合、成熟期の商品のコンセプトを変更し新規顧客を獲得したい場合に新規ターゲットを「コアターゲット」として設定します。 「コアターゲット」の設定の際には具体的なターゲットプロフィールであるペルソナを設定します。

Step.2:[What to say]何を伝えるのか?(訴求ポイント)

ターゲットが決まったら広告メッセージの基本となる「訴求ポイント(訴える要点)」を明確化します。

課題・目的に応じて訴求内容は異なります。商品名訴求、商品特徴訴求、ブランドイメージ訴求、価格訴求など様々なポイントがあります。

明確にした訴求ポイントを広告対象の生活者へ向けて発信することで、興味を引き購買意欲に働きかけることを実現させます。

この際、訴求内容は要点を簡潔かつシンプルにする必要があります。

なぜなら広告は基本的に「受動的情報」だからです。

無意識に無料で入ってくる情報には、生活者にとって必要な情報と不必要な情報が混在しています。

また、広告はテレビやラジオなど限られた時間や、新聞雑誌などの限られたスペースで行われるため、欲張り色々と盛り込んだ訴求内容では焦点がぼやけてしまい、ターゲットに対して何の印象も残すことができません。

Step.3:[How to say]どのように伝えるか

ターゲットと訴求ポイントが決まったら、いよいよ表現の段階に入ります。

◆表現コンセプト

広告表現の基本方針を決定します。

◆トーン&マナー

「表現の基調」を決め、広告でどのような世界観を創り上げるかを規定します。

商品と連動する重要なポイントです。

◆キャッチコピー

「表現コンセプト」をターゲットに刺さる、魅力的な言葉に落とし込みます。

◆ビジュアル

生活者に対してインパクトを与え、注意を引き付けて欲しいと思わせられるかが重要です。

広告はキャッチコピーとビジュアルが連動して成立します。

◆広告表現手法

広告目的に応じた具体的な表現を創り上げます。

◆キャラクター

タレント・イラストなどで企業や商品のイメージを代弁します。

今現在人気のタレントを起用する、国民的キャラクターを活用するなどただ話題性や知名度のあるものを選ぶのではなく、商品コンセプト・表現コンセプトとの整合性が重要です。

多くの広告表現は役割の基本である認知・理解度の促進に位置しています。現在では、「売り」に近い部分である販売促進目的の広告も増えています。

広告表現手法については改めて別記事にてご紹介いたします。

マーケティング重点戦略との整合性はあるか?

マーケティングコミュニケーションの課題抽出・基本的戦略策定や具体的戦術の計画時には以下5つのマーケティング重要戦略を踏まえる必要があります。

市場拡大か?シェア拡大か?

市場の成長度合いによって打ち手が異なります。

成長市場の場合は自社商品が消費者のニーズを満たすことや商品価値を伝え、市場拡大を図ることを優先課題とします。

成熟市場の場合は商品の普及率が高いため、需要は買い替えが中心になります。他社からのブランドスイッチを優先課題とします。

自社のオリジナリティを訴求し差別化することで市場シェア拡大を狙います。

強者の戦略か?弱者の戦略か?

市場規模や競合商品と対比し、自社商品のシェアやポジションを踏まえることが大切です。

ポジションはフィリップ・コトラーの競争地位4類型に当てはめて考えます。

◆リーダー

・市場のトップシェアを持っている

・業界を牽引する「リーディングカンパニー」

・トップシェアを維持し、業界最大利益を保つ

◆チャレンジャー

・業界でも上位のシェアを持っている

・トップシェアを奪取するか、フォロワーを叩き今のポジションを維持するかで戦略が異なる

・他社との差別化によってシェア拡大を図る

◆フォロワー

・リーダーの戦略を模倣し、利益を得る企業群

・ある程度の利益と成長が得られる

・ただ模倣するのではなく、自社のアレンジを加えることで生き残りを図る

◆ニッチャー

・マーケットシェアは高くないが、高利益率で安定した売上を持つ

・狭い市場に特化し、ターゲットを絞り込んだプロモーションを行う

プル戦略か?プッシュ戦略か?

これはプロモーション戦略の2つの方法です。

プル戦略は引き込む戦略です。商品の良さを広告を通じて生活者に伝えることで需要を喚起し、指名買いを獲得します。

プッシュ戦略は押しの戦略です。販売店の販売員などを通じて商品の良さを生活者に直接伝え、商品購入を促します。

2つの戦略は相反するものではなく、業種・商品・販売行動によって戦略双方のウエイトやバランスをとることが大切です。

プロダクトライフサイクルごとの戦略は?

PLC(プロダクトライフサイクル)について詳細は「マーケティングの全体像について/その③」をご覧ください。

◆導入期

・商品知名度の獲得

・商品コンセプトの理解

・流通へのプッシュで推奨販売の促進

◆成長期

・競合他社との差別化

・ポジショニングの明確化

・市場への浸透

◆成熟期

・ブランド強化と定番商品化。市場シェアを確保

・用途提案やライフスタイルの提案

・ポジショニングのシフトによるターゲットの拡大

・ブランドスイッチ

新たな需要を喚起するには?

成熟市場で売上が停滞し、低下しそうな場合に行います。

今までの商品のポジショニングを検証し、衰退期に入る危険性がある場合はポジショニングを変更し、新たな需要を開拓します。

マーケティングコミュニケーションの戦略立案・戦術(施策)立案時の注意点

パワフル&ユニークなアイデアを構築し、生活者の目に触れ、伝わる施策として実施します。施策はテレビCMやキャンペーン、イベントなど多岐にわたります。

受け手(生活者=顧客)の視点に立ち、考えているか?

生活者にとっての価値は何なのかを追求し、生活者に対して分かりやすく理解し共感するコミュニケーションを実施します。

そのためには日頃から顧客支店で様々なものに関心を寄せることが大切です。

商品に直結することであれば、該当商品の売り場を見ることや生活者の様子を観察する、競合他社の商品を実際に使ってみるなどです。

また、トレンドや流行、街の様子、経済・社会の動向など世の中の動きにも注目します。

楽しさ・創造性・独創性はあるか?

生活者が目にする施策は「パワフル&ユニーク」な楽しいものです。

楽しさに「創造性と独創性」があるとより一層「パワフル&ユニーク」なアイデアとして生活者に届きます。

企画を実施した場合、目的や目標達成の可能性はどれくらいか?

目的・目標達成の是非は効果測定で検証します。効果測定を行うことで成功するためのポイントや新たに解決すべき課題が明確になります。

実現性・予算・スケジュールに問題はないか?

どれだけ企画内容が良くても、現実性がなくては意味がありません。企画内容・予算・スケジュールなどを順守できるかなどマネジメントが大切です。

企業文化や指向性に沿った企画内容になっているか?

ユニークさを求めるあまり、自社の文化・指向性から逸脱したアイデアになってはいけません。

広告表現計画の留意点

広告表現は「アート作品」ではない

広告とはマーケティング課題を解決するために行われるコミュニケーション領域の「具体的手段」として、クリエイターが右脳で考えたものです。

アイデアの源となる要素はクリエイター自身が触れたものであり、文学や映画、音楽、絵画、演劇などのインプットがアウトプットの「広告」に活かされます。

アート作品ではありませんが、美術的・芸術的要素が大きく絡むため広告とアートはけして無関係ではありません。

広告表現には「これが最高・定番」という基準はない

アイデアは様々な視点から生まれてくるもので「これが正解」というものはありません。

どれだけアイデアが秀逸でも「誰に・何を伝えるか」が表現から伝わらなければ広告としての役割を果たしません。

繰り返しになりますが、広告アイデアは「生活者視点」で物事を見る習慣をつけることがポイントです。

アイデアは柔軟に考え、1人の生活者・顧客の視点で考えることがユニークで斬新なアイデアを抽出するカギとなります。

広告媒体計画のステップ

広告表現が決定したら、広告媒体計画で「何を通して、伝えるのか?」を構築します。

メディアミックス

ターゲットに最も効果的・効率的に到達する媒体の選定・配分を行います。

留意点として下記4ポイントを踏まえることが大切です。

・ターゲット(広告ターゲット)

・商品特徴(態度変容モデル)

・製品ライフサイクル

・広告目的

時期配分・エリア配分

基本的に市場の大きさ、需要の大きさに順じ、競合商品の動向や自社シェア、売り上げ目標も踏まえ設定します。

ビークル設定

ビークルとは具体的な媒体を指し、ビークル設定とはどの媒体を使用するかの選定のことです。

幅広く届けるリーチ(広告到達率)を重視するか?それとも接触が深くなるフリークエンシー(広告接触回数)を重視するか?を決定します。

ユニット選定

ユニットとはスペースや時間枠のことを指します。例えば折込チラシのサイズ、折込枚数、エリアをどうするか?テレビCMの放送時間帯は何時頃に流すかになどの媒体選定についてです。

各媒体にはメリット(強み)・デメリット(弱み)があります。それを理解し、目的やターゲットに応じたメディアミックスを行います。

各媒体についての詳細は

各広告媒体のメリット・デメリット/その①

各広告媒体のメリット・デメリット/その②

各広告媒体のメリット・デメリット/その③

をご覧ください。

まとめ

重点課題を解決するための広告表現計画とその留意点についてご紹介しました。

広告はやみくもにインパクトを求めたりするものではなく、Step.2で立案した戦略を基に具体的にターゲットへ届ける表現を落としこむものです。

Step.1~3で導き出された課題解決の打ち手をStep.4の具体的戦術(施策)で行います。

課題の与件整理や抽出の段階からご相談・ご提案し、効果測定まで伴走いたしますので自社商品のマーケティングについてお悩みの方や、現在出稿中媒体の効果にお悩みの方はお気軽にお問合せください。

次回はSTEP.5の結果把握(効果測定)についてです。

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