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その広告表現、大丈夫ですか?

こんにちは。石川県金沢市の総合広告代理店PR ENGINEの沼田です。

今回は、先日の元吉野家常務取締役本部長の発言とその後の処遇を受けて広告表現、マーケティングの認識について改めて考えたいと思います。

事の発端

不適切な発言がなされたのは4月16日(土)の早稲田大学で行われた社会人向けプログラム「デジタル時代のマーケティング総合講座」第一回目でした。

担当講師は元吉野家常務取締役企画本部長、伊藤正明氏です。

吉野家のマーケティング課題の解決策をグループで話し合い発表するグループワークが行われました。

18~25歳の女性客の集客に苦戦しており、取り込む施策を考えてほしいと説明する過程で問題発言となった「生娘をシャブ漬け戦略」と笑いながら複数回発言しました。

この発言の前置きとして「不適切な言い回しで不愉快な思いをされた方がいたら申し訳ないんですが」と発言していましたが、そのような前置きをすれば何を言っても許されると思っているからこそ出た発言であり、ご本人の中では問題発言である認識は一切なかったのではないかと感じさせる内容です。

さらに、会場からは笑い声も上がり、同じような感覚を持ってマーケティングに携わっている人が複数人いるのだということに恐ろしさを覚えました。

この発言は「人権・ジェンダー問題の観点からも到底許容できるものではありません」として吉野家が謝罪し、4月19日(火)には同氏は解任となりました。

女性蔑視を始め顧客を中傷する言葉が教育機関でなされた事実

件の発言から、吉野家のマーケティングの根底には女性差別があるのではないか、女性差別や誤ったジェンダー意識が経営やマーケティングの根底にあるのではないかと推察することができ、個人ではなく社内の共通認識としてそのような施策があったのか、日常的に使用されていたのかは徹底調査すべきことです。

また、女性蔑視だけでなく男性客に対しても「家に居場所のない人が何度も来店する」という趣旨の発言がありました。

自社の商品に対する自信・愛情・誇りが皆無であり、顧客への誠意のなさを感じさせる発言です。

以前、携わらせてもらった案件で企業の営業の方にインタビューをさせてもらったのですが、その際に「社内でのお客様への態度は営業先でそのまま出るものです」と仰っていたことを思い出しました。

私自身お客様に対するスタンスに誤りはないか、お客様が求める顧客獲得のための人物像を描く際に生活者の方に対する失礼な発言はないか今一度振り返り考えなければならないと考えさせられました。

企業の社会的責任が問われる時代

情報化社会の現代では講演というクローズドな場での不適切な発言もSNSであっという間に拡散され、多くの人に知れ渡ります。

だからこそより人権・ジェンダーに対する意識を高め、顧客を大切にすることがマーケティングにおいて重要になります。 私たちのような広告代理店、企業のマーケティング担当の方はマーケティング戦略とそこから落とし込まれた広告表現に人権・ジェンダー問題の観点から見て不適切なものではないか、今一度立ち止まり考える必要があるのではないかと感じさせる出来事でした。