こんにちは。石川県金沢市の総合広告代理店PR ENGINEの沼田です。 以前紹介したマーケティングの全体像について/その③でご紹介したコミュニケーションの部分についてのご紹介の続きです。
基本戦略を導く課題抽出
今回は与件整理で抽出された課題の中から重点課題を設定するためのお話です。
Step.1:[Why]基本戦略を導く課題抽出
与件整理によって、問題点の「解決すべき弊害」や市場機会である「伸ばすべき利点」など、複数の課題が抽出されます。
それぞれの課題によってマーケティングコミュニケーション戦略、具体的な施策(戦術)は全く異なってきます。
そのため課題の重要性に優劣をつけ最初に解決すべき重点課題を決定し、軽微な課題はいったん切り捨てます。
抽出された課題はマーケティングコミュニケーションとして課題解決ができない場合もあります。
例えば商品が「衰退期」のもの、価格や販路の問題などです。
これらはマーケティングミックスを考え、4Pの他の要素に課題を言及する必要があります。
「衰退期」であれば撤退も選択肢に入りますし、価格は商品の価値として消費者が高い・安いと感じるかの他にマーケットでの価格競争などの要因も含まれます。
重要課題を効率的に抽出するには「SWOT分析」が効率的です。
・弱みを強みに置き換えることはできないか?
・内部環境を外部環境に置き換えることはできないか?
・脅威を機会に置き換えることはできないか?
という視点で考えてみます。 SWOT分析、クロスSWOT分析については、マーケティングの全体像について/その①でも解説しております。
Step.2:[What]目的(何のために実施するのか)
マーケティングコミュニケーションの目的を明確にし、何のために「広告・販売促進・広報」などのマーケティングコミュニケーションの施策を実施するのかを整理します。
課題抽出で重点課題と設定したものがどのような状態になれば課題解決したことになるのか目標を設定します。
この際「知名度の向上、理解度を固める」など言葉で概念的に定義するのではなく、「半年後に助成想起90%獲得!」など数値で具体的に定義します。
Step.2:[Who]ターゲット(誰に伝えるのか?)
マーケティングコミュニケーションの対象は中心となる消費者から流通関与者まで幅広いです。現状を認識した結果、流通に課題がある場合は流通関与者をターゲットとして施策を実施します。
ターゲットはマーケティング戦略の影響を大きく受けます。
マーケティング上とは別のコミュニケーション上のターゲットを設定する場合もあります。
例えばおもちゃの商品ターゲットは子供ですが、コミュニケーションターゲットは親です。
新商品の発売ではマーケティング上の実売層とは別に、コミュニケーションを行う中心層となる「コアターゲット」を設定します。「コアターゲット」とは最初に商品を購入し、他への波及効果のあるオピニオンリーダーのことです。
既存商品の場合、成熟期の商品のコンセプトを変更し新規顧客を獲得したい場合に新規ターゲットを「コアターゲット」として設定します。 「コアターゲット」の設定の際には具体的なターゲットプロフィールであるペルソナを設定します。
Step.2:[When]時期(いつ実施するのか?)・[Where]エリア(どこで実施するのか?)
予算との関りが大きな項目です。「いつ・どこに絞り込むか」が重要なポイントです。
時期は商品やサービスの季節性、需要期などをふまえ需要期に集中して実施します。「成熟期」にある商品やサービスのターゲットを変える場合は、今までと異なる時期に新たな需要を開拓します。
エリアは全国統一で行うのかエリア限定で実施するのか、実施規模を明確にします。限定して行う場合、強いエリアをより強化するか弱いエリアをテコ入れするかを決定します。エリアごとの市場規模や伸長率、競合対比でのシェアなど、マーケティング戦略上での課題に沿って実施エリアを決定します。
Step.2:[How]活動方法(どのように実施するのか?)
課題解決のために「広告・販売促進・広報」をどのようにコミュニケーションミックスするのか、活動方法を整理します。どのようなコミュニケーション戦術があるか理解し、具体的に決定します。
施策の目次となるような項目を作り、基本戦略の活動方法を整理します。細かな計画は別に構築しておきます。プロセスや対象ごとのコミュニケーション課題を解決するために、どのようなコミュニケーション戦術があるのか理解し、具体的な活動方法を整理します。
施策の整理は下記3つに分けられます。
◆「俯瞰的」に整理
大きな方向性を規定できます。
予算の算出と分配が可能になります。
◆「時系列的」に整理
どの施策がいつ行われるのか把握します。
◆「広告・販売促進・広報」をメニュー的に整理
具体的な計画段階での目的が希薄になりかけた時、立ち戻ることができます。
Step.2:[How Much]予算(いくらかかるのか?)
コミュニケーション戦略の実施にはいくら予算が必要なのか、かかる予算を最適な方法で算出します。
◆売上基準法
売上高から一定の比率を予算として算出する方法です。
売上が安定している「既存商品」に有効な算出法です。
◆販売単位法
商品単価の一定比率を予算として計上、販売数量目標を掛け合わせて合計予算を算出します。
「単価の高い商品」の予算算出に有効です。
◆支出可能法
事前に経費を計算し、その中で割ける予算を算出します。
企業の業績次第で予算が大きく変化します。
◆競争対抗法
競合他社の過去の出稿状況を参考にし、競合と同等あるいは上回る広告予算を算出します。
「成熟期」のシェア争いの段階に有効です。
◆目標達成法
コミュニケーション目標達成には予算がいくら必要かを算出します。
マーケティング目標を達成するには広告目標はいくらに設定するのか?必要な広告投下量と予算はどれだけ必要かを、目標達成の観点で予算算出を行います。
目標達成のためには「基準値」が必要です。「基準値は」商品やサービスの過去のケースから設定します。
Step.2:戦略目標(結果がどうなれば成功なのか?)
戦略目標とは「コミュニケーション目標」のことを指します。マーケティングコミュニケーション戦略と戦術(具体的施策)を実施した後の目標数値です。
◆コミュニケーション目標
「生活者(消費者)や販売関与者に与える影響」を具体的数値で設定します。
マーケティング目標との相関関係で、コミュニケーション目標を設定する場合もあります。
・狭義:「広告目標」と同義語。認知率・理解率・購買意向率をさします。
・広義:「販売促進施策のプロモーション目標」。初回利用率・継続利用率といった行動レベルで数値化します。
・拡大:対象を「販売関与者」まで拡大。流通向けプロモーション目標や店頭配荷率などを指します。
まとめ
戦略立案のための第一段階の基本戦略を導く課題抽出と、第二段階の戦略立案・戦略目標についてご紹介しました。
このようにマーケティングコミュニケーション戦略を立案するには様々な分析や具体的な目標設定が必要となります。
課題抽出の段階からご相談・ご提案し、効果測定まで伴走いたしますので自社商品のマーケティングについてお悩みの方や、現在出稿中媒体の効果にお悩みの方はお気軽にお問合せください。
次回はSTEP.3の戦術立案についてです。
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