こんにちは。石川県金沢市の総合広告代理店PR ENGINEの沼田です。 以前紹介した「マーケティングの全体像について/その③」でご紹介したコミュニケーションの部分について今回から詳しくご紹介します。
マーケティングコミュニケーションの展開概要
マーケティングコミュニケーションとはマーケティング4Pの「promotion」にあたる言葉です。顧客に商品やサービスを知ってもらう、購買してもらう等の目的で企業が顧客との接点をつくりコミュニケーションをしていく活動全般を指します。
プロモーション方法は
・人的販売
・広告
・販売促進
・広報
の4つに大別されます。
課題を解決するための戦略・戦術
マーケティングコミュニケーションは課題を解決するための戦略・戦術です。 5つの展開ステップに分かれており、その中でPlan Do Seeを回していきます。Plan Do Seeとは循環構造のことです。
5つの展開ステップ
【Plan】
◆Step.1:戦略立案のための現状認識。課題抽出
◆Step.2:どんな作戦をとるか考え、意思決定する。戦略目標を設定
◆Step.3:戦略をふまえ、どのような広告・販売促進・広報計画を立案するか決定
【Do】
◆Step.4:具体的な戦術(施策)の実施
【See】
◆Step.5:効果測定から課題抽出
⇒Step.1へ
今回は課題抽出の与件整理についてのお話です。
Step.1:課題抽出の与件整理
与件整理はマーケティングコミュニケーション領域での課題を発見するための作業です。
課題発見のためには「仮説」を持ち、「仮説検証」の視点で現状を認識します。現状の認識は外部環境(時代や環境分析)と内部環境(自社及び商品そのものを分析)の2つがあります。
[外部環境]
時代背景と経済状況を把握します。PEST分析でマクロ的に世の中の傾向を分析します。
政治動向、社会の動向、新技術の動向から今の世の中の傾向や今後を予測し、整理します。現状だけでなく、3~5年先まで予測することが大切です。
◆市場規模の把握
・金額ベース、数量ベースで把握
・各メーカーのシェアを把握
・市場を分解し、セグメンテーションを通じて「商品のタイプ別の規模やシェア」の精査
◆市場規模の推移
・市場は拡大しているのか、縮小しているのか、横ばいなのかを見極める
・現在の市場状況を把握し、それぞれに応じたマーケティング戦略を策定し、戦術施策を実施
◆生活者(消費者)の現状を把握
・どのようなターゲットが「いつ」「どこで」「どのように」利用しているのか?
・利用金額や数量、その推移は?
・ヘビーユーザーとライトユーザーの傾向は?
・購入者と購入提唱者(イノベーター)の違いは?
・購入者と利用者の違いは?
・購入の主な理由はどのような要因か?
・購入者の比率、購入意向者の比率は? など
生活者(消費者)についても仮説を持って分析することで効率的な分析ができます。
◆競合商品状況
・同一カテゴリーでどのような銘柄があるかを分析
―市場規模に占めるシェア
―強み・弱み
―どのような特徴が生活者(消費者)から支持されるか
・実際に競合に接してみる
◆流通状況
・どのようなチャネルで販売されているのか
・卸売店や販売店がどのように捉えているか
[内部環境]
◆開発趣旨、商品特徴、価格
商品を開発した「志」「使命=Mission」を明確にします。これは開発趣旨の背景となる「理念」的な部分です。
特徴は商品ならではの独自でユニークな売り込みが効くセールスポイントである「USP(Unique Selling Proposition)」を明確化します。
USPとは、市場での競合優位性や競合他社との差別化に影響を及ぼす要因です。
また、商品が顧客にどのような恩恵や便益=ベネフィットを提供するかを考えます。
このベネフィットには
・機能ベネフィット:製品の具体的な価値提供
・情緒(心理)ベネフィット:印象やイメージによる価値提供
の2種類があります。
◆マーケット、ターゲット
STPによりどのセグメンテーションでどんなターゲティングをしたのかを把握します。
ターゲティングは
・地理的特性軸
・デモグラフィック特性軸
・サイコグラフィック特性軸
から規定します。
※STPについての詳細は「マーケティングの全体像について/その②」をご覧ください。
◆社内外商品との比較
商品やサービスを社内商品、社外の競合商品と比較した場合に「何が優位か」「顧客にどのような価値を提供するのか」を把握します。USPやベネフィットの確認です。
◆企業理念、自社の強み弱み
企業理念とは事業を行う際の志、普遍的な事柄を指します。どんな企業にも強みと弱みはあり、強みとはその企業が競合より優位に立てる大切な資産です。
◆流通、営業体制
流通に対する支配力、商品の流通経路、店頭状況、マージンの体系などを把握します。
把握には時期別やエリア別に見た時どうなのか、競合と比較した場合にどうなのかを踏まえる必要があります。
◆コミュニケーション
既存商品は現在実施されているマーケティングコミュニケーションの実施内容と施策結果を分析します。分析対象は広告、販売促進、広報で、「どのような目的」で、「いつ」「どのような施策が」「どの程度実施されたのか」を把握します。
消費者の広告認知度、商品認知度、商品理解度や商品イメージも合わせて把握します。
新商品は企業ブランドの観点から現状を認識します。
外部環境、内部環境の分析や把握は仮説を持ちながら行うことで効果的・効率的に実施できます。
また、必要に応じて市場調査を行います。2次データは既存資料から調査し、1次データは実態調査です。
客観的に事実把握をすることで、問題点と市場機会が整理できます。
問題点の解決すべき弊害、市場機会の伸ばすべき利点と課題が上がってきますが、一度に全てを解決しようとせず優先順位をつけて課題を設定します。
課題とは解決すべき事柄であって、問題点ではありません。
問題点は目標とするものと現状の間にあるギャップのことを指し、目標達成のために解決すべき事柄です。
課題は目標と現状のギャップを埋めるためにすべきこと。問題解決のためのアクションです。
まとめ
戦略立案のための第一段階、課題抽出の与件整理についてご紹介しました。
現状を認識する際に仮説持って整理することによって、より精度の高い課題抽出を行うための準備が整います。
次回はSTEP.1のもう1つの項目、基本戦略を導く課題抽出とSTEP.2です。
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